エッセイ

第四十二候 禾乃登(こくものすなわちみのる)

ーーーーー第四十二候 禾乃登(こくものすなわちみのる)9月2日〜9月7日頃 稲の実る時期ーーーーー 晩夏の風、百舌、再会に着想した詩、3首。   風薙ぎに草葉も陰も目を細め穂波を眺みついつしか月待ち ...
エッセイ

第十六候 葭始生(あしはじめてしょうず)

ーーーーー第十六候 葭始生(あしはじめてしょうず)4月20日〜4月24日頃 葦の芽が、水の中から角のように突き出してくる時期ーーーーー 春を契機に浮かんだ詩、3首。   ふと見ゆるひとのやさしさ明日葉...

春彼岸、花蕾

淡色蕾をほどく桜の樹蜜を啄ばむ雀の群れ雀を見やり、流れる川川のせせらぎを聴きながら絹のように下がる夜の帷

自選3首:ことば

できるなら揺蕩うように文学したい何も損なうこともなく     いつも言いたいことは一言で言えない     不可避の日死骸の額に手を遣りて遠き仕合わせを信ずること不可視の背この世に在りと亡きとの稜線に

自選5首:過ごすこと

あの日見た翠で今を生きている補給はどこですればいいのか     なんだってひとつに決めることなんてできないいつもこわいから     退屈なのにつらすぎて何もできないことも退屈     ふろあがり夜の重...

自選3首:うつくしさ

紫のアサガオ絞るはじめての意識はいつもそこから始まる     透かし見るペットボトルの透明さだって奇跡だ惰性を見つめよ     わたしはあなたの代わりに生きていて、あなたはわたしの代わりに生きている

自選3首:水と風

逃げてきてTシャツ孕んだ夏風はいつかのような敵じゃなかった     つらければつらいほどまず音楽を摂取し続け水面に顔を     霧を抜け私の言葉の透明な滝を見た君視られたわたし       写真:オラ...

自選3首:祈り

祈りとは存在のくすみの緩和薬あらいやすりに抗するやすり     浮かび出る灯と花と共、盃す遠くの憂いを溶かすよに     寛座して霧と等価のこの身置き符の小煙に滲みし冬夜

自選5首:思索

わけもなく眠れない日を重ねてはストレートな表現が嫌いになった     まだわたしは何者でもない、生きる重さとこんなにもくるしい     空がこんなにきれいなのに、私たちは何を求めるだろう     数多...

自選5首:生活

うつくしかった涙によりていきてゐる     ひつじぐも見上げて発するその動き、季節に住んで永遠であれ     秋色のビール飲みながら鴨川を渡ってる人が綺麗だった     月の眼のもとにぞ私住んでいて微...
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