【藤井風】自然体な風さんは私たちに何を伝えているのか【帰ろう】

エッセイ

岡山の地からおしゃれでリラックスした雰囲気を持ちながら慈愛に満ちた暖かい音楽を届け続けている藤井風さん。

以前、紅白にも出演されたことから、彼の名はとても広く知られるようになりました。

ですが、彼が自分の曲に対して「自分はこの曲にこういう思いを込めたんだ」と話している動画をあげていることを知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。

私は先日、「帰ろう」という曲について話している「”帰ろう”って何なん」という動画を見て、改めて彼の言葉選び、纏う空気感、木漏れ日のような暖かさに打たれました。

Lastly, In this song, I ask myself that
最後に、この曲ではわしは自分にこう問いかけています。

“how should I live my life in order to die happily?”
「幸せに死ぬためにはどう生きたらええの?」

I’m still struggling.
わしはいまももがいています

That’s why I’m living.
だから生きています

So don’t give up living and struggling.
だから、いきることを、もがくことを諦めないで

We can go home safely, happily and peacefully.
きっとわしたちは無事に、幸せに、安らかに帰れるから

藤井風さんのYoutube動画「”帰ろう”って何なん」から。
https://www.youtube.com/watch?v=36fhfRh_iVk

藤井風さんの言葉の英語書き取りはこちら。
https://nikaenglishmusic.com/post-141

「帰ろう」は、風さんは私たちに何を伝えているのか

私はよく思うことがあります。

多くの人が、”生”に向かって走っている。

”死”を見つめることから距離を置いている。

「幸せに生きるためにどうすればいいの?」
ではなく、
「幸せに死ぬためにはどう生きたらええの?」

「幸せに死ぬこと」について考えると、多くのことが違う色合いで見えてくるように思います。

終わりの前に大切なものは、共通しているものも、人によって異なるものもあるでしょう。

終わりを迎える前に、死を見つめ、自分にとって大切なものを見つめ続けていられれば、

『光の帝国 常野物語』の一節のように、無事に、幸せに、安らかに、いつか、帰れるのかもしれません。

僕たちは光の子供だ。どこにでも光はあたる。光のあたるところには草が生え、風が吹き、生きとし生けるものは呼吸する。それは、どこででも、誰にでもそうだ。でも、誰かのためにでもないし、誰かのおかげというわけじゃない。僕たちは無理やり生まれさせられたのでもなければ、間違って生まれてきたのでもない。それは光があたっているということと同じように、やがては風が吹き始め、花が実をつけるのと同じように、そういうふうに、ずっとずっと前から決まっている決まりなのだ。僕たちは、草に頬ずりし、風に身をまかせ、くだものをもいで食べ、星と夜明けを夢見ながら、この世界で暮らそう。そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、みんなで手をつないで帰ろう。
引用:『光の帝国 常野物語』恩田陸著、131、132頁

プロフィール

1992年生まれ。京都在住。
精神保健福祉士、文筆家、英語講師、ライティング講師。
英語や京都、メンタルヘルス分野を中心に、企業等でフリーランスとして執筆を行なう。
また、塾や就労移行支援施設で講師として活動している。
ライティング、英語、英会話、カウンセリングの個別相談にも対応。
TOEIC920点、精神保健福祉士(国家資格)を保有。
死生観について在野、たまに在学で思索中。
趣味はチェロやギターの演奏、紅茶、京都散策、建築探訪、美術館巡り。
(撮影:橋本優馬)

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Nika Nishimura

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