第四十四候 鶺鴒鳴(せきれいなく)

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第四十四候 鶺鴒鳴(せきれいなく)
9月13日〜9月17日頃

鶺鴒の鳴く時期
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今年の京都は夏が長い。いっときふと涼しくなったかと思ったが、また、夏顔負けの日々が帰ってきた。

暦上は、白露の次候。朝晩、露が降り、朝陽を浴びて白く見える頃。けれどまだまだそんなことはない、というのが実感だ。

秋を感じられるものといったら、朝晩の空の清澄さ、先日庭で出会った百舌(モズ)、皓々とした月明かり、だろうか。

百舌は秋から冬にかけて、寒さを逃れ、山の麓へ下りる鳥。七十二候のひとつになっている鶺鴒(セキレイ)も、かつては季節に応じて移動する鳥だったそうだ。今は、特に本州では、いつでも目にする留鳥(りゅうちょう)となっている。

京都の鴨川や植物園近辺では、白鶺鴒(ハクセキレイ)をよく見る。その細い流線形の身体と、灰黒色の背から長く延びる尾がうつくしい、と見かける度いつも思う。比較的小さい鳥で、体長は20cmほど。いつもぴょこぴょこと尾を上げ下げしながら、餌を探しているのかきょろきょろしている。

帰ってきたこの暑さに、彼らも辟易(へきえき)しているだろう。特に、適温を求めて山から下りてきた百舌にはつらいかもしれない。「まだ山に居た方がよかったか…」とほぞを噛んでいる様子が思われる。でも、下りてきてくれたおかげで一目見ゆることができた身上からすると、それでも下りてきてくれて、姿を見せてくれて有難く思う。とはいえ、月を見ながらのんびりと盃を交わせるような、私たちにも鳥たちにも過ごしよい気候に、早くなってほしいと思う。

 

 秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 藤原敏行 古今和歌集

 秋来ぬと身にはさやかに思えねど百舌の声にぞこころうきたつ 西村二架

 

 

 

 

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参考文献・資料:
山下 景子, 『二十四節気と七十二候の季節手帖』, 成美堂出版, 2013年. https://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415314846

(仲秋、白露・次候、第四十四候 鶺鴒鳴(せきれいなく))

プロフィール

1992年生まれ。京都在住。
精神保健福祉士、文筆家、英語講師、ライティング講師。
英語や京都、メンタルヘルス分野を中心に、企業等でフリーランスとして執筆を行なう。
また、塾や就労移行支援施設で講師として活動している。
ライティング、英語、英会話、カウンセリングの個別相談にも対応。
TOEIC920点、精神保健福祉士(国家資格)を保有。
死生観について在野、たまに在学で思索中。
趣味はチェロやギターの演奏、紅茶、京都散策、建築探訪、美術館巡り。
(撮影:橋本優馬)

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Nika Nishimura

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