第一候 東風解凍(はるかぜこおりをとく)

エッセイ

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第一候 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
2月4日〜2月8日頃

春を連れてくる風が氷をとかす時期
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季節は立春を迎えた。けれど実際のところ、まだまだ寒い日和が続く。お昼間に窓から差す陽に春を見れど、晩にはそんな気配はどこへやらという気がする。

1月と2月のこれまでは、どことなく調子の悪いまま過ごしている。生きているとしばしばあることだが、理由もなく心が沈んで、動けなくなるときがある。そんなときには、ただただ動かずにいることも多い。

それでも、少し動けるようになってきたときに散歩をしたり、楽器を触ることをしてみている。

遅く起きて、京都御所の中の林に足を向けると、頬に当たる陽の柔らかさや木々のやさしさ、こもっていない風の透明さに触れて、少し深く呼吸できるように思う。

チェロに触れて音を鳴らしていると、思うように弾けているときは、響いてくる空気の振るえに包まれて、世界から距離を置いて休むことができるように思う。

立春の第一候は、春を告げる風が薄氷うすらひをとかす頃。私の胸底に残る薄氷うすらひも、陽のあたたかさと共に、穏やかに水に変わってくれたら、と願う。

 

 

 

 

 

(初春、立春・初候、第一候 東風解凍(はるかぜこおりをとく))

プロフィール

1992年生まれ。京都在住。
精神保健福祉士、文筆家、英語講師、ライティング講師。
英語や京都、メンタルヘルス分野を中心に、企業等でフリーランスとして執筆を行なう。
また、塾や就労移行支援施設で講師として活動している。
ライティング、英語、英会話、カウンセリングの個別相談にも対応。
TOEIC920点、精神保健福祉士(国家資格)を保有。
死生観について在野、たまに在学で思索中。
趣味はチェロやギターの演奏、紅茶、京都散策、建築探訪、美術館巡り。
(撮影:橋本優馬)

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Nika Nishimura

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