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第十一候 桜初開(さくらはじめてひらく)
3月26日〜3月30日頃
桜が花を開く時期
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花時を数える季節。
開花や散花(ちりばな)に気を揉み、咲いてはよろこび、散っては嘆く。
その傍らで、辛夷(こぶし)、白木蓮、連翹(れんぎょう)も遠く白く、近く金色に咲いてゆく。蓬(よもぎ)もたくさん、山間(やまあい)に身体を延ばしてゆく。
人が、桜にいっときの愉しみを求める。咲くを待ち、いざ咲けば散ることを憂う。未来を待ち、今が過去になることを想っては嘆息する。
わたしたちは、
桜開く、その前を観る。
ひとつひとつの蕾に新鮮な力が宿っているように思う。その張りつめた英気を想う。
桜開く、その時を思う。
花弁の色合いは、湛えた儚さを切に発する。世に認められた美しさも美しさだと思う。
桜散る、その後を観る。
緑の葉があらわれ、花と互いに世を過ごす。やがて、葉は花を見送る。
世の其処此処(そこここ)に、心満たすうつくしさがあると思う。今も、昔も、行くこれからも。
人が期待、喪失、空虚に包まれるとき、それに関わらず、蕾が張り、花が咲き、散っていく。辛夷(こぶし)が笑い、白木蓮が顔を上げ、連翹(れんぎょう)は我先にと髪を飾る。蓬(よもぎ)はわさわさと、身体を延ばしては寛げる場所を探している。
自然の現象の内実に、喪われることないうつくしさがあると信じている。
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参考:山下 景子(2013年)『二十四節気と七十二候の季節手帖』成美堂出版https://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415314846
(仲春、春分・次候、第十一候 桜初開(さくらはじめてひらく) )
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