第二十五候 蟷螂生(かまきりしょうず)

エッセイ

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第二十五候 蟷螂生(かまきりしょうず)
6月6日〜6月10日頃

蟷螂(かまきり)が生まれ来る時期
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今年は梅雨の気配が遅いような気がする。紫陽花(あじさい)が好きな身としては、外でゆっくり花を楽しむことができて嬉しい。

梅の実が熟す時期である梅雨には、蟷螂や蛍たちが草の間に、花の間に現れる。他の虫たちも盛んになり、暑くなり、雨が降り、良いことばかりでもない初夏が来る。

夏は、暑いので苦手だ。でも、その暑さの元である陽のひかりは、緑を際立たせてうつくしい。いつか、「夏の陽の緑に浮かぶ木々を見て」と上の句詠んだことを思い出す。

陽光、紫陽花、蟷螂、蛍、それぞれがどこか、私にとって懐かしい響きを持っている。頓阿(とんあ)『頓阿法師詠』に「飛ぶ螢思ひのみこそしるべとや暗き闇にももえて行(ゆく)らん」とあるように、それぞれの事物が、どこか自分の意思を持っているように思えるからかもしれない。

わたしもひとも、思いのみを標(しるべ)として、この世を飛んでいるのではなかろうか。暗き闇に、それでも燃えて行くことは、わたしには難しい。けれど、自照(じしょう)という別名を持つ蛍のように、自らで自らの有り様は照らせたらと思う。そして、そのひかりを受け入れてよいものとみなしたい。同様に、わたしのやみも受け入れてよいものとみなしたい。つらい、死にたい、消えたいという思い、拒絶せず突き放さず、自分と仲良くなる端緒(たんしょ)としたい。ひとと仲良くなる端緒ともしたい。

暗き闇その闇よりのひかりもてこの世の橋を徒歩(かち)で行くらん

西村二架

 

 

 

 

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参考図書・資料:
聖パウロ女子修道会「平和を求める祈り」https://www.pauline.or.jp/prayingtime/peace01.php、「闇に光を、
悲しみのあるところに喜びを」
山下 景子(2013年)『二十四節気と七十二候の季節手帖』成美堂出版https://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415314846

(仲夏、芒種・初候、第二十五候 蟷螂生(かまきりしょうず))

プロフィール

1992年生まれ。京都在住。
精神保健福祉士、文筆家、英語講師、ライティング講師。
英語や京都、メンタルヘルス分野を中心に、企業等でフリーランスとして執筆を行なう。
また、塾や就労移行支援施設で講師として活動している。
ライティング、英語、英会話、カウンセリングの個別相談にも対応。
TOEIC920点、精神保健福祉士(国家資格)を保有。
死生観について在野、たまに在学で思索中。
趣味はチェロやギターの演奏、紅茶、京都散策、建築探訪、美術館巡り。
(撮影:橋本優馬)

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Nika Nishimura

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